《CMAGAZINE》(Canon)

            2000.05.20.

THE ARTIST 21st ・ Century

5月末のウィーンの夕暮れ。目につくのは長い年月にわたり大切にされてきた建物という芸術品。ヨーロッパの人々にとって、芸術は空気のような存在。建物は機能性のみならず、美的要素が何よりも大切にされ、オフィスビルでさえ美的で人間のために存在すべきだという考えに改めて感激した。太陽がまさに沈もうとするとき、一筋の光が天使の翼だけを金色に照らした。その瞬間、私はあまりの興奮に我を忘れ、夢の世界へ誘われた。日が傾きすぎていたため望遠レンズでスローシャッターを切った。興奮のためブレてしまったが、自分としては気に入った一点である。もう一つのタイトルは「夢の翼」。天使の翼はまさしく私を幻想の世界へと導く。

Profile

汪蕪生(ワン・ウーシェン)

中国安徽省蕪湖市生まれ、安徽師範大学物理学科卒業。

1973年 安徽省新聞図片社カメラマンとなる

1981年 日本へ留学

1983年 日本国際交流基金研究員となり、日本大学芸術研究所で研究

1986年 東京芸術大学で研修

1989年 東京女子大学比較文化研究所の客員研究員

1990年 渡米。現在フォトアーティストとして国際的に活躍中

汪蕪生展〜天上の山々〜が東京都写真美術館で7月16日まで開催されています。(会期延長)