週刊 中国巨龍」<260号> 

            2000.05.02.

 

中国に触れよう

神々の書道

故・池田満寿夫氏をして「驚くべき風景写真。山水画を写真で凌駕した傑作」と言わしめた汪蕪生の作品展が開催されている。

汪蕪生は中国安徽省生まれ。安徽省新聞のカメラマンを経験したあと、八一年から日本へ留学。日本国際交流基金研究員として、日大芸術研究所や東京芸大で写真を学び、九十年に渡米。以来フォト・アーティストとして国際的に活躍を続けている。

七四年から、彼は祖国中国の黄山をモチーフに、「山水写真」という独自のスタイルを碓立、創作活動を続けてきた。静寂な中にも見る者に開放感を与えるようなその美しさは世界で認められ、九八年には欧州三大美術館の一つであるウィーン美術史博物観で、現存する芸術家として初の個展を開いた。この個展に際し、同美術館の館長はこのような言葉を贈った。「中国の芸術家がこのような独特の手法で、現代の世界における自己の芸術の方向性や芸術的感銘、アイデンティティー、自己と宗教・哲学との関連性を表現することを見ることは、われわれに尽きせぬ喜びを与えてくれます。」

さらに同展を観覧した客からは「夢のように美しい」「この狂った時代の真の清涼剤」

「神々の書道」「内面に向かう発見の旅」といった深い感動の声が相次いだという。

本展ではウィーン展での作品を展示するほか、汪蕪生がヨーロッパ旅行中に撮影した作品、さらに和歌山県の自然を撮影した作品も展示。文化を越え、宗教を越え、人々に天国を見出させた写真は、日本人の心にも染み渡ることだろう。

会期=六月十八日(日)

(恵比寿ガーデンプレイス内/NTTハローダイヤル03・3272・8600)時間=十時〜十八時入場料=一般八百円・学生六百四十円・小中高生四百円