「文芸春秋」(平成十一年九月特別号)

           平成十一年九月一日 発行

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力強い応援団を得て、

「山水写真家」汪さんの夢を膨らむ

 

去る七月八日、都内で「汪蕪生先生を囲む日中協力会発足パーティー」なるものが開かれた。主役の汪蕪生さん(54・右)は、十八年前に来日して以来、日本を拠点に活動している写真家である。彼がライフワークとして撮り続けているのが、中国の山、黄山。黄山といえば、山水画の原点として有名だが、汪さんとこの山との出会いは来日の七年前。中国で新聞社のカメラマンとなって二年目のことだった。

「その雄大さに、それまでの人生観が丸ごと変わってしまうほどの感動と興奮を味わった」という汪さん。以来二十五年にわたり、その幻想的な岩山と雲の世界を追いかけている。彼の作品は、中国の伝統的な水墨画の世界を写真で再現した「山水写真」として、日本の財界や文化人には熱狂的ファンも多い。

パーティーには汪さんの芸術と人柄に魅せられた人々が集まり、協力会の役員である平岩外四さん(84・左 東京電力椛樺k役) もエールを送った。

昨年はウィーン美術史博物館で個展が開催され、「東洋の心を表現した芸術」として大好評を博した山水写真。協力会の発足を機に、アジアや欧米各国での巡回個展も検討されている。

 
                                                                                              撮影 佐藤 明/文 牧野容子