「インターナショナル スクエア」
レンズで「山水」欧州へ
「心象風景」映し 東洋人初の個展
山水画の故郷といわれる中国安徽省の黄山を二十五年間わたり撮り続けてきた、東京都墨田区在住の中国人写真家、汪蕪生さんの個展が八月九日まで、オーストリアのウィーン美術史博物館で開かれている、欧州をする宮廷美術館の同館が写真展を企画するのも初めてなら、東洋人の個展のも初めてという。汪さんは「東洋人の新しい表現を西洋に伝えたい」と語っている。
個展は「天上の山々」と題し、神が住んでいそうな山々の霧と雲海の夢幻的な風景を紹介する。縦二.六b、横五bの屏風形式の作品など約七十点を、約四百三十平方bのホールに並べている。
東京在住の中国人写真家・汪蕪生さん
ウィーン美術史博物館が開催要請
汪さんは安徽省生まれ。地元の新聞社にカメラマンとして就職して以来、故郷の山・黄山を追う生涯の仕事と決めて通い続けている。
あるものしか写せない写真という手法で、どこまで心象写真を表現できるか、思うような写真を撮るために、黄山で半年近く粘る。
汪は、十七年前に留学生として来日して以来、東京を拠点に活動続けきた。
昨年九月、ウィーン郊外の「クレムス美術館」で開かれた「山」の企画展に、五枚の写真を出展したのが今回の個展のきっかけになった。ウィーン美術館の館長が偶然作品に目をとめ、即座に汪さんに個展の開催を申し込んできた。
汪さんは今回の個展ついて、「こんな機会があるとは。とても興奮している。二十一世紀に向け、写真の歴史が長い西洋に、東洋からの文化的な衝撃を与えることができれば」と願っている。
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