「読売新聞」

1993.04.26.


「黄山神韻」

 

これは、まさに水墨山水画の世界といっていいだろう。生まれ故郷・安徽省に近い景勝の霊山というわれる黄山の景観を、カメラで実写し続けてきた汪さんの作品は仙人でもいそうな神仙境が空想の世界でなく、実在することを芸術的に実証したものだ。

154平方`に千峰の翠が重

奇松が至るところに散在し、怪岩がずらりと林立した世界」、汪さんは黄山をそう表現している。

ここをテーマに決めたものの、自由な時間、やフィルムを持つことは許されなかった。ようやく日本に留学する機会を得て、アルパイトで苦学の末、9年前、必要なカメラとフィルムを持って再び黄山に分け入った。そして発表したのが88年の「黄山幻幽」

それから5年。今回は、一部カラー写真も入れて、新境地を開いた。 もちろん、水墨山水画の世界はそこなわれてはいない。