「聖教新聞」

 1988.11.23

 

黄 山 幻 幽

絵のような景色、という。だが、われわれ日本人には、「山水画のような景色」に限ってはちょっと非現実的な雰囲気があった。しかし今、中国の写真家・汪蕪生(ワンウーシェン)氏によって、中国の名山「黄山」の全貌を見ると、まさに「山水画のような景色」が現実にあるのだと驚嘆の声を上げずにはいられない。汪氏が、始めて黄山見たのは大学卒業後のこと。それが黄山撮影に生きる運命の出あいとなった。「私は生まれて始めて見る絶景に我を忘れた。百五十四平方`の範囲に、千峰の翠が重り、万谷が縦横にあい交わり、奇松が至るところに散在し、怪岩がずらりと乱立している・・・・・・」 “松” “岩” “出”の三主題を中心に集められた、黄山のモノクローム写真は、その千変万化の「幻幽」なる絶景を心ゆくまで楽しませてくれる。森本哲郎氏が一文を寄せる。