「朝日新聞」神奈川版

1983年<昭和58年>5月21日土曜日

 

水墨画にかえて山水写真


中国のカメラマンが撮影した名山の写真を水墨画の代わりに使った勧行寺(横浜市西区南軽井沢)の書院庫裏のふすま、評判になっている。

戦災で焼けた書院庫裏は、今年四月末に再建された。その際、壇家の一人で設計にあたった茂木計一郎東京芸大教授のアイデアで、二階のふすま五面に、日本に留学中の中国の写真家・汪蕪生さんが撮影した「黄山」の写真を大きく引き伸ばした。

黄山は中国の南部安徽省にあり、中国五岳の一つ。水墨画の故郷といわれる名山で、日本でも古くは雪舟、最近では東山魁夷、加山又造といった有名画家が題材にしている。

この十二日には、黄山に乗ったことがあるという宋之光中国大使夫妻も同寺を訪れ、「じかに見るより美しい」と感想をもらした。鑑賞の問い合わせは同寺(045-113-3557)へ。